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入門というよりは、なにかと忘れがちな「平家物語」の超初歩的な情報のメモです.......φ(. .)賽の河原の小石のように積んでは壊される記憶のよすがにどぞ。

ゲンペイスト入門INDEX

「そもそも「平家物語」ってなんだっけ
成立とか、種類とか、平家物語を読み始めると出てくる疑問をまとめてみました。

ゲンペイ用語集
原文や訳文を読む時にちょっとだけお役立ち用語。

一言 de ゲンペイ
平家物語の各段を一行でまとめてみました。全部読み切るのって長いし登場人物多いよね…って時に。

ゲンペイ雑記
管理人の雑記をちょいちょい載せています。

キソの最期1
木曽の最期を「原文」と「直訳」で読み比べ。

キソの最期2
木曽の最期を「延慶本」と「長門本」の原文を並べて読み比べ、意外と違ってる感をお楽しみください。

源平盛衰記図絵
江戸時代の挿絵をコマ割りしてみた。



*「ゲンペイスト」とは、歴史的には保元・平治の乱、治承・寿永の争乱といわれる源平合戦の時代をこよなく愛する者のこと(造語)。






◆そもそも「平家物語」ってなんだっけ

▼「平家物語」は平安時代末期に起こった「治承・寿永の乱(1180~1185)」を描いた「軍記物」で、それ以前に起こった「保元(1156)・平治の乱(1159)」のエピソードも物語内に含んでいる。

▼作者は不詳、「徒然草」に記載の信濃前司行長をはじめ、西仏(木曽義仲祐筆・覚明という説もある人物)などいろんな説があるが、多種多様なエピソードが挿入されていることもあって、最終的な「平家物語」成立は複数の作者によるものとされている。

▼成立は鎌倉時代中期(1230年代)、現在、最も古態を残すのは延慶(えんぎょう)年間に成立したといわれる「延慶本」とされる。ただし延慶本にも後世の「平家物語」の補足が足されたとみられているので注意が必要。

▼延慶本以前すでに平家物語の原本があり、藤原定家宛の手紙にみえる「治承物語六巻 平家と号す」が原本ではないかともいうがなにしろ現物がない。

▼平家物語には延慶本以外にも異本が多数ある。
おおまかに「読み本系(書籍)」と「語り本系(琵琶法師の口伝を書籍化)」がある。
読み本には「延慶本」をはじめ「源平盛衰記」など、語り本には「国民文庫本」や「覚一本」などがあるが、読み本と語り本をMIXした「百二十句本」といったものも出現している。
現在もっともよく読まれるのは流布本で、覚一本が変化して江戸期に刊行されて広まった。

▼日付を入れ、時間軸に沿い、式典等の出来事を書く、という形式からみて公式歴史編纂書を元にしたか、もしくはそれに見立てた書式をとっている。
が、史実とは違う描写も多く、日付等も意図的に変更されている箇所があるので注意が必要。
有名なところでは重盛の行動が清盛に差し替えられていたり、頼朝の征夷将軍院宣の時期がズレていたりする事など。
また、後世の作者が物語を面白くする為に後から足したり時間軸を変えたりしたエピソードとして有名なのは「灌頂の巻」といわれる章、他にも類型的に作話されたエピソードが多々みられる。

▼そもそも平家の物語とは言うものの、平家栄華の描写は序盤の「鱸」をピークに衰退し滅んでいく構成になっている。物語のスポットが「清盛」→「義仲」→「義経」と、いずれも栄枯盛衰をたどる3人に当てられているところに、近年着目されている。
このことからも「滅びの物語」といわれる事が多い。


◆じゃ「保元物語」「平治物語」は?

▼もちろんゲンペイストとして外せない「保元(1156)・平治の乱(1159)」についてはそれぞれ『保元物語』『平治物語』という軍紀物があり、成立は不明だがおそらく頼朝死去以降〜鎌倉期(1240年代)。作者についても不明、内容が類似しているので同作者説もあるが、保元・平治の作者は別人という説が近年のトレンド。

▼保元・平治物語にも異本があり、「半井本(古態/保元・平治共通)」「鎌倉本(古態/平治は3巻のみ)」「京図本(保元)」「金比羅本(保元・平治)」「京師本(保元)」「陽明文庫蔵本(平治・上中巻)」「学習院本(平治・中下巻)」など、そして流布本

▼平家物語と同じく琵琶法師に語らせたといわれるが、平家ほど当たらなかったらしく全体的にあっさりした内容。ただし成立時よりカナリ源氏贔屓の内容に変化しているといわれる。
「平家物語延慶本」と「保元平治物語半井・鎌倉本」に類似記事が見られることから、どちらかが(もしくは相互?)参照されている可能性が高いといわれる。または参照した元ネタ(日記など)が同じであったとか。


◆軍記物…とは

▼ここでいう「軍記物」は「軍記物語」ともいわれる、鎌倉〜室町期に書かれた『そう遠くない過去、本当にあった戦争の物語』で、史実に完全には即してないが、戦争の様子を広く伝える為の文芸作品。スピンアウト的な作品ほど、創作エピソードが多い(「義経記」とか)。

▼個人的にゲンペイストとして挙げておきたい軍記物は、「将門記」「陸奥話記(前九年の役)」「奥州三年記(後三年の役)」「保元物語(保元の乱)」「平治物語(平治の乱)」「平家物語(治承寿永の乱)」「承久記(承久の乱)」(←保元〜承久は4つで「四部合戦状」というセットになっているものがある)、スピンオフ的な軍記物(史実物語)は「義経記」「曽我物語」。
軍記ではないけども「今昔物語集」の巻23以降には「ムカシの源平合戦」のエピソードがあるので押さえたい。「源宛vs平良文」「源頼信vs平忠常」とか。源氏vs平氏の構図は治承寿永に突然始まったものではないのだと再認識。

▼現在は残されていないがすごく気になる物語があり、それが永正四年(1507年)に書かれたという『旅宿問答』に載っていたという一節に「ある説には 多武峯に源喩僧正とて、宏才有智の貴僧御座、此僧正、保元・平治、源義賢と義平との一乱を作り出し給ふ」とあり、もしかしたら「久寿物語」みたいなのがあったかもしれないなーと思う。(義賢と義平の戦った大蔵合戦は久寿2年(1155年) ※多武峯(とうのみね)は奈良県桜井市あたりにある山で、ここではそこにある多武峰妙楽寺のこと。





保元・平治・平家物語などの軍記物は「極力史実を調査しつつも、脚色の入った大河ドラマ的な物語である」と考えるのが一番正しい気がします。あんまり細かいことは気にしないでまずは読むことから!そして細部が気になりだしたら貴族の日記の世界へ!


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