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源平ゲームオススメ本|ナントカ本資料|近デジ参考文献

ナントカ本資料
「平家物語」諸本のこと

平家物語にハマリ始めると分からなくなってくるのが「ナントカ系」とか「ナントカ本」とかいう諸本のこと。

一口に「平家物語」と言っても、どうやらいろいろ種類があるらしい。と、いうわけで軽く調べてみた。なるべく新しい説をとってるつもりだけども、歴史の諸説は常に動いてるので本気で調査する人はガンバってください;


語り本」は琵琶法師が口承で伝えてきた系統で、かな表記で残るものが主。
読み本」は書籍として流布、漢字表記が主。
現在では「読み本系」の方が「語り本系」より古態を存する見解が有力とされている。(ただし、事実を正確に伝えているかどうかは別)
歴史として平家物語を調査する学者が昨今、延慶(えんきょう)本を引用している例が多いのはそういう事のようで。




語り本系

 八坂流┬中院本
    ├文禄本
    └国民文庫本

*「屋代本」「百二十句本」は以前は八坂流とされてたようだが現在では「屋代本」は古い語り本の一つとされ八坂流ではない、とし、「百二十句本」は南部本と同じく読み本と語り本を合わせたものと考えられている


一方流覚一本→高野本
   ├葉子十行本
   ├京師本
   ├下村時房本
   └
流布本(覚一本の別本・江戸時代に刊行)

*覚えておきたいのは覚一氏。「オレが死んだらおまいら一言一句完璧な源平の語り、忘れちゃいそうだよな!」と書き写させたおかげで状態の良い伝承が残ったと。ちなみに琵琶法師の名前は盲僧ギルド「明道座」所属の場合「○一」(○には適当な漢字が入る)と名前に一が入る。あと「城○」。勿論例外もあったらしいが。



読み本系

広本系延慶本(6巻/延慶の頃に成立)
   ├長門本
(20巻/延慶本より後に成立・改作あり)
   └源平盛衰記
(48巻)

略本系┬源平闘諍録(5巻/東国で発生した真名本)
   └四部合戦状本
(12巻/欠落あり、東国で発生した真名本の異本と考えられている)
   
 南都本(12巻)
    百二十句本
(覚一系と屋代系がまざったもの)
    鎌倉本
    平松家本

*「南都本」は読み本と語り本の巻が混在するもの、現在では略本系にも入れないかも?


その他

    屋代本(比較的古い形態)
    南都本
(12巻/読み本と語り本の巻が混在)
    百二十句本
(覚一系と屋代系がまざったもの)
    鎌倉本
(覚一系と屋代系がまざったもの)
    平松家本
(覚一系と屋代系がまざったもの)

などなど。この他にもまだたくさんの諸本があるらしい…おそるべし源平人気…





「治承・寿永争乱」の文献(日記、歴史書)


当ページは木曾義仲専門なので、かたよった文献をオススメ(というか自分用にメモ)しておくー
木曾殿については、長く都にいたわけでもましてや宮中にちゃんとお勤めしていたわけでもないので、殿上人セレブの話題に上がった事もなく、ひたすらゲリラ・クーデターの主犯として登場する以外に出番がないらしい…。

吾妻鏡:△
作者不詳。日記形式の歴史書、鎌倉時代末期に幕府内有力人物が編纂したと言われている。寿永2年は欠落しているのであまり面白くない。

玉葉
九条兼実の日記。不遇と戦乱に鬱々としながらもキチンと書いている姿勢には感嘆。兼実ファンになれるかもw


以下、中世文献の書名を羅列(なにしろちゃんと読んでみた事ないので〜)
*色のついてるのは関連の外部ページに勝手にリンク!

中右記× 藤原宗忠の日記。保延4年(1138年)まで。
台記 △ 藤原頼長の日記。久寿2年(1155年)まで残っている。保元の乱に詳しい他なにかと赤裸々…(どっちかといえば義仲のお父さん=義賢の事とか「一月五日、今夜入義賢於臥内、及無礼、有景味(不快後、初有此事)」)
兵範記− 人車記とも。平信範の日記。元暦元年(1184年)まで。寿永カバーしてるけど読んだ事ないので…
吉記 ○ 藤原経房の日記。建久9年(1198年)まで?内容は良質らしいが近所の図書館にない…T_T たまに引用してあるのは諸先生の受け売り(ぉ
山槐記○ 藤原忠親の日記。伝本は文治元年(1185年)まで?治承寿永争乱についての動向に詳しい?
明月記× 百人一首の選者で有名な藤原定家の日記。寿永元〜2年まで欠落、若かりし定家も戦時中は書いてる場合じゃなかったのか?残念。
愚昧記− 三条実房の日記。建久6年まで残っている。治承寿永争乱〜幕府成立の頃の宮中の様子がわかる?

以下は鎌倉時代以降に成立したもの、

六代勝事記 作者不詳。治承争乱〜寿永争乱までの歴史書。承久の乱直後に書かれたと言われている。
百錬抄 作者不詳。安和元年〜正元元年(1259年)までの公家の日記等からの記録抜粋・編集された歴史書。
愚管抄 慈円の歴史論。頼朝肯定派。

尊卑分脈 洞院公定により編纂された姓氏調査書。南北朝あたりに編纂。






●平家物語諸本の勝手に関連リンク

どうでもいいけど、なんで平家物語ってお値段高いんでしょーね、ってやっぱり読む人が少なければしょうがないのかあ。本業じゃなきゃなかなか購入できない代物が多いし、図書館でも諸本がそろってるのなんて見た事ない。
とりあえずネット上で購入確認できるもの紹介。

■語り本/一方流/覚一別本(高野本)
新日本古典文学大系本 平家物語 岩波書店 
平家物語 全訳注 1〜12 講談社学術文庫

■語り本/流布本
平家物語(寛文12年刊平仮名整版本) 角川文庫

■読み本/広本系/延慶本
延慶本 平家物語 本文篇 勉誠出版

■読み本/広本系/長門本
長門本 平家物語 1〜4 勉誠出版

■読み本/広本系/源平盛衰記
源平盛衰記 三弥井書店

■読み本/略本系/源平闘諍録
源平闘諍録 坂東で生まれた平家物語 講談社学術文庫

■読み本/略本系/四部合戦状本
四部合戦状本平家物語全釈 和泉書院


■その他/百二十句本
平家物語 百二十句本 思文閣出版
日本古典集成 平家物語 上中下 新潮社

■語り本/その他/屋代本・高野本対照
屋代本 高野本対照 平家物語 新典社




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